偏差値とは、「そのグループの中でどのくらいの位置にいるか」を表すものです。言い換えれば偏差値はテストを受けた全員の得点のばらつきを考慮した評価方法です。
河合 伊六(かわい いろく、(1928年3月13日 - 2007年10月4日)は日本の臨床心理学者。学校心理士。学位は、文学博士(広島大学・1976年)広島大学名誉教授。専門は教育臨床心理学)によると、検査結果の「表示法」として偏差値が用いられるようになったのは知能検査が最初であり、その後やがて、偏差値による表示法は学力検査にも適用されるようになり、性格検査やその他の得点の表示法として広く用いられるようになった[2]。偏差値は多くの場合受験業界でよく使われる指標です。新聞や雑誌などのメディアや、教育機関などが「偏差値」を「学力偏差値」の意味で使用している。
日本においては、特に大学入試において「入学難易度の高い学校=良い学校」という「各大学の入学に必要な学力偏差値の高さ=各大学のブランド」としての意味合いを持ってきた。その結果、受験生は、「偏差値の高い大学・学部」に合格することが目的化し、偏差値を軸に大学を選ぶ時代が続いていました。
「そもそも偏差値とはなんだろう?」
具体例
あるクラスにAさんとB君がいるとします。
Aさんは、英語のテストで 50点を取った。
Bくんは、国語のテストで 80点を取った。
このとき、皆さんは Aさんと Bくんのどちらのほうが「成績が優秀」だと感じますか?普通に考えると、80 点をとった Bくんのほうが成績優秀に見えますよね。しかし、ここで「英語のテストは平均点が 40点の難しいテストだった」「国語のテストは平均点が 90点の簡単なテストだった」ということが分かったらどうでしょう?
Aさんの英語の成績はかなり優秀であると分かりますし、Bくんの国語の成績は、あまり優秀とは言えないことが分かります。
このように、テストの成績の良さを判断するときは「何点をとったか」よりも「平均点と比べてどのくらい高い点・低い点をとったか」のほうが重要になると言えるでしょう。
では、「平均点との差」だけを考えれば良いのでしょうか。実はそうでもありません。
Cくんは、平均点 60点の数学のテストで 70点を取った。
Dさんは、平均点 60点の歴史のテストで 70点を取った。
どちらも同じ「平均点よりも10点高い成績」なので、「平均点との差」だけで考えると「同じくらい成績が良い」ように見えます。
しかし、ここで「数学のテストはほとんどの人が 65点から 55点の間にいた」「歴史のテストは 90点以上と 40点以下で二極化していた」ということが分かったらどうなるでしょう?
数学のテストは点数のばらつきが小さいので平均点より10点も高い Cくんの数学の成績はかなり優秀であると分かりますし、歴史のテストは点数のばらつきが大きいので平均点より 10点高くても、 Dさんの歴史の成績は優秀とまでは言えないことが分かります。
このように、テストの成績の良さを判断するときは「平均点との差」だけでなく「試験を受けたグループ全体の点数のばらつき」も考えなければなりません。
偏差値の計算方法
即ち、偏差値(へんさち)は、特定のデータセットにおいて、個々の値がどれくらい平均から離れているかを示す指標です。偏差値は主にテストや試験の結果を評価する際に使われますが、数学的には「標準偏差」を利用して算出されます。
具体的な説明をするために、次のような例を考えてみましょう。
例: クラスのテスト結果
あるクラスで10人の生徒がテストを受けた結果、次のような点数が出ました。
生徒 | 点数 |
A | 80 |
B | 85 |
C | 90 |
D | 70 |
E | 60 |
F | 95 |
G | 75 |
H | 65 |
I | 100 |
J | 55 |
このクラスのテストの平均点(平均値)と標準偏差(標準偏差)を求め、そこから偏差値を計算します。
ステップ 1: 平均点を計算する
テストの点数の合計を求め、それを生徒の人数(10人)で割ります。
平均点=
平均点は75.5点です。
ステップ 2: 標準偏差を計算する
次に、各生徒の点数が平均からどれくらい離れているかを計算し、その差を2乗して平均を取った後、平方根を取ります。
まず、各点数と平均点との差を求めます(偏差):
生徒 | 点数 | 偏差(点数-平均点) | 偏差の2乗 |
A | 80 | 80 - 75.5 = 4.5 | 4.5² = 20.25 |
B | 85 | 85 - 75.5 = 9.5 | 9.5² = 90.25 |
C | 90 | 90 - 75.5 = 14.5 | 14.5² = 210.25 |
D | 70 | 70 - 75.5 = -5.5 | (-5.5)² = 30.25 |
E | 60 | 60 - 75.5 = -15.5 | (-15.5)² = 240.25 |
F | 95 | 95 - 75.5 = 19.5 | 19.5² = 380.25 |
G | 75 | 75 - 75.5 = -0.5 | (-0.5)² = 0.25 |
H | 65 | 65 - 75.5 = -10.5 | (-10.5)² = 110.25 |
I | 100 | 100 - 75.5 = 24.5 | 24.5² = 600.25 |
J | 55 | 55 - 75.5 = -20.5 | (-20.5)² = 420.25 |
次に、偏差の2乗の平均を求めます。
偏差の2乗の平均==211.5
最後に、標準偏差(SD)はその平方根を取ります。
標準偏差=≈14.54
ステップ 3: 偏差値を計算する
偏差値は次の式で計算できます。
偏差値=
例えば、生徒Aの偏差値を計算してみましょう。
偏差値(A)=
このように、生徒Aの偏差値は約53.1です。同様に、他の生徒についても偏差値を計算することができます。
偏差値の解釈
偏差値は「50」を基準としており、標準偏差が10です。これを基に、以下のように解釈できます。
- 偏差値が50より大きい場合、平均よりも良い成績を取っていることを意味します。
- 偏差値が50より小さい場合、平均よりも悪い成績を取っていることを意味します。
例えば、生徒Aの偏差値が53.1の場合、彼はクラスの平均より少し上の成績を取っているということです。
偏差値と順位の関係表
偏差値 | 順位 | 偏差値 | 順位 |
81 | 上位 0.1% | 49 | 上位 53.98% |
80 | 上位 0.13% | 48 | 上位 57.93% |
75 | 上位 0.62% | 47 | 上位 61.79% |
73.3 | 上位 1% | 46 | 上位 65.54% |
70 | 上位 2.28% | 45 | 上位 69.15% |
65 | 上位 6.68% | 44 | 上位 72.57% |
62.8 | 上位 10% | 43 | 上位 75.80% |
60 | 上位 15.87% | 42 | 上位 78.81% |
58 | 上位 21.19% | 41 | 上位 81.59% |
56.8 | 上位 25% | 40 | 上位 84.13% |
56 | 上位 27.43% | 39 | 上位 86.43% |
54 | 上位 34.46% | 38 | 上位 88.49% |
52 | 上位 42.07% | 37 | 上位 90.32% |
51 | 上位 46.02% | 36 | 上位 91.92% |
50 | 上位 50% | 35 | 上位 93.32% |